科学技術計算分科会 2021年度会合 富岳スペシャル3.0~新時代の防災・減災~

日時 2022年1月20日(木) 分科会 13:30-17:15
開催方法 オンライン開催(ZOOM予定)
参加対象 SS研会員機関にご所属の方
参加費 無料
参加申込み 開催済
その他 本会合は、2021年度冬イベント(18日:BoF、19日:システム技術分科会合同分科会、20日:教育環境分科会、科学技術計算分科会)の一部です。

開催趣旨

 昨年度は富岳の稼働が始まり、ISC20やSC20でTop500の1位だけでなく、様々なベンチマークで1位になりました。その富岳を利用して、新型コロナウイルスに対する研究開発も行われ、ベンチマークとともにその性能の高さを示しました。一方で、富岳の稼働開始から時間が経っていなかったこともあり、その他の富岳を活用する様々な分野やアプリケーションの成果はまだ見えていませんでした。そこで、今回は富岳を利用している分野の中でも「防災・減災」に注目し、それらの分野において富岳を利用することで開かれる新しい時代に関する講演を行い、SS研会員のみなさまに富岳のすごさを感じていただきます。開催形態は今回もオンラインウェビナーとなります。たくさんのSS研会員のみなさまにご参加いただけることを期待しています。

プログラム(敬称略)※予告なく変更する場合がございます。予めご了承下さい。

【公開可能な資料のみ開催後に順次掲載予定】

Session1 [前半司会]佐藤 賢斗 (理化学研究所)
13:30-13:35
開催趣旨説明
深沢 圭一郎 (京都大学)
13:35-14:25
講演 40分
Q&A 10分
講演
「「富岳」成果創出加速プログラム地震課題~地震発生から地震動・地盤増幅評価までの統合的予測に向けて~」
堀 高峰
(海洋研究開発機構)プロフィール
 

国難とされる首都直下地震や南海トラフ地震に備えるためには、地震災害の定量的評価が必要となる。本課題では、地下の断層での地震発生から地震波の伝播、そして地盤での揺れの増幅に至るまでを統合的に予測するシステムを構築し、国による地震災害評価での活用を目指している。そのために必要となる高詳細有限要素法での超大規模計算を「富岳」で実施するためのアプリケーションの高度化を行っている。

 地震発生,地震動,地盤増幅,大規模シミュレーション,有限要素法
 プレゼン資料(PDF:5.6MB)
14:25-15:15
講演 40分
Q&A 10分
講演
「「富岳」を使ったゲリラ豪雨予報
   ~2021年夏季のリアルタイム実証実験~」
三好 建正 (理化学研究所) プロフィール
 

2021年7月20日から8月8日までと8月24日から9月5日までの期間、首都圏において30秒ごとに更新する30分後までの超高速高性能降水予報のリアルタイム実証実験を行いました。「富岳」を生かすことで前年よりも20倍大きな1000通りのアンサンブル計算を行い、システム全体を改良しました。また、30分後までの予報を10通り計算し、確率的な予報を行いました。本講演では、富岳を使った最先端の天気予報研究として、本実験について紹介します。

 ゲリラ豪雨,富岳,数値天気予報,データ同化,フェーズドアレイ気象レーダ
 プレゼン資料(PDF:10.5MB)
15:15-15:30 休憩(15分)
Session2 [後半司会]田中 輝雄 (工学院大学)
15:30-16:20
講演 40分
Q&A 10分
講演
「Wisteria/BDEC-01 & h3-Open-BDEC
~(計算・データ・学習)融合によるSociety 5.0実現へ向けて~」
中島 研吾 (東京大学) プロフィール
 

スーパーコンピューティングは,従来の計算科学・計算工学シミュレーションに加えて,データ科学,機械学習等の知見を融合した新しい手法を適用することによって,サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合したシステムを形成し,Society 5.0が目指す人間中心の社会の実現に大きく貢献すると期待される。本発表では,2021年5月14日に運用を開始した「(計算・データ・学習)融合スーパーコンピュータ(Wisteria/BDEC-01)」,及び革新的ソフトウェア基盤「h3-Open-BDEC」について,関連する研究開発の取り組みも交えて紹介する。

 シミュレーション,データ科学,機械学習,混合精度演算,リアルタイム処理
 プレゼン資料(PDF:124MB)
16:20-17:10
講演 40分
Q&A 10分
講演
「A64FX CPU 向けコンパイラとチューニング事例」
原口 正寿 (富士通株式会社) プロフィール
 

理化学研究所と富士通株式会社が共同で開発したスーパーコンピュータ「富岳」は、TOP500、HPCG、HPL-AI、Graph500の4部門で4期連続の世界1位を獲得した。本発表では、「富岳」のCPUであるA64FXで性能を出すためのコンパイラ最適化技術を開発現場の苦労話を交えてお話しするとともに、性能向上のチューニング事例について紹介する。

 A64FX,コンパイラ,最適化,性能チューニング,高速化
17:10-17:15
閉会挨拶
南里 豪志 (九州大学)

講演者 

「富岳」成果創出加速プログラム地震課題~地震発生から地震動・地盤増幅評価までの統合的予測に向けて~

lecturer
堀 高峰 (Hori Takane)
国立研究開発法人 海洋研究開発機構 海域地震火山部門・地震津波予測研究開発センター センター長
[略歴]
1998年京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了、博士(理学)学位取得。日本学術振興会特別研究員を経て、1999年から海洋科学技術センター(現在は国立研究開発法人海洋研究開発機構)研究員。2012年4月から主任研究員。2019年4月から現職の地震津波予測研究開発センター長(上席研究員)となる。地震調査研究推進本部専門委員(長期評価部会)、地震予知連絡会委員、日本地震学会代議員などを務める。

「富岳」を使ったゲリラ豪雨予報~2021年夏季のリアルタイム実証実験~

lecturer
三好 建正(Miyoshi Takemasa)
理化学研究所 計算科学研究センター データ同化研究チームチームリーダー
[略歴]
2000年京都大学理学部卒業、気象庁入庁。2003年より2年間、人事院行政官長期在外研究員として米国メリーランド大学に留学、博士号を取得。気象庁予報部数値予報課技術専門官、メリーランド大学助教授を経て、2013年1月より現職。現在、理化学研究所開拓研究本部主任研究員、同数理創造プログラム副プログラムディレクター、京都大学大学院理学研究科連携教授、メリーランド大学大気海洋科学部客員教授、海洋研究開発機構アプリケーションラボ招聘上席研究員を兼任。防災功労者内閣総理大臣表彰(2020)、読売ゴールドメダル賞(2018)、日本気象学会賞(2016)、地球惑星科学振興西田賞(2015)、文部科学大臣表彰若手科学者賞(2014)など多数受賞。気象予報士。
[研究分野、研究テーマ]
  • データ同化
  • 数値天気予報
[所属学会、受賞歴、著書など]
所属学会
  • 日本気象学会
  • American Geophysical Union
  • American Meteorological Society
  • 日本地球惑星科学連合
  • European Geosciences Union
  • 日本工学アカデミー
受賞歴
  • 2008年 日本気象学会山本・正野論文賞
  • 2014年 土木学会水工学委員会 水工学論文賞
  • 2014年 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
  • 2015年 地球惑星科学振興西田賞
  • 2016年 日本気象学会賞
  • 2016年 Progress in Earth and Planetary Science (PEPS) The Most Accessed Paper Award 2016, Japan Geoscience Union
  • 2017年 Editor's Award, Monthly Weather Review, American
  Meteorological Society, For prompt and detailed reviews of a large
  number of manuscripts
  • 2017年 Progress in Earth and Planetary Science (PEPS) The Most Cited Paper Award 2017, Japan Geoscience Union
  • 2018年 読売ゴールドメダル賞
  • 2018年 理研梅峰賞
  • 2018年 HPCI利用研究課題優秀成果賞
  • 2020年 防災功労者内閣総理大臣表彰
著書
露木義、川畑拓矢(編著)、三好建正、小泉耕、大野木和敏、岡本幸三、門脇隆志、成井昭夫、石川宜広、本田有機、筒井純一、小出寛、坂本雅巳、古林慎哉、初鹿宏壮、松本隆則、山崎信雄、釜堀弘隆、高橋清利、門倉真ニ、和田浩治、加藤浩司、小山亮、尾瀬智昭、萬納寺信崇、平隆介、大河原望、斉藤和雄、瀬古弘、小司禎教、國井勝、青梨和正、気象研究ノート第217 号 「気象学におけるデータ同化」2008年
筆保 弘徳、稲津 將(編著)、吉野 純、茂木 耕作, 加藤 輝之、芳村 圭、三好建正、「天気と気象についてわかっていることいないこと ようこそそらの研究室へ」2013年
 

Wisteria/BDEC-01 & h3-Open-BDEC~(計算・データ・学習)融合によるSociety 5.0実現へ向けて~

lecturer
中島 研吾(Nakajima Kengo)
東京大学情報基盤センター教授 理化学研究所計算科学研究センター副センター長
[略歴]
 1985年03月 東京大学工学部航空学科卒業
 1985年04月 株式会社三菱総合研究所
 1993年07月 テキサス大学オースティン校大学院修了
 1999年07月 財団法人高度情報科学技術研究機構
 2004年04月 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻
 2008年04月 東京大学情報基盤センター,現在に至る
 2018年04月 理化学研究所計算科学研究センター副センター長
[研究分野、研究テーマ]
  • 数値流体力学,計算力学
  • 数値線形代数
  • 並列アルゴリズム
[所属学会、受賞歴、著書など]
  • IEEE,SIAM
  • 情報処理学会,日本応用数理学会,日本計算工学会
  • 平成20年度山下記念研究賞(情報処理学会)
  • Best Paper Award, IEEE ICPADS 2014
  • Best Paper Award, HPC Asia 2018
 

A64FX CPU向けコンパイラとチューニング事例

lecturer
原口 正寿 (Haraguchi Masatoshi)
富士通株式会社
ミッションクリティカルシステム事業本部 HPCシステム事業部 言語ソフトウェア部 シニアアーキテクト
[略歴]
1993年富士通入社。スーパーコンピュータ向けのコンパイラの研究開発、性能評価に従事。