SS研HPCフォーラム2022 近未来HPC  ~未来を切り拓くコンピューティング・アーキテクチャ~

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日時 2022年9月26日(月) フォーラム 13:00-17:20
開催方法 場所:富士通汐留本社24階大会議室
(住所:東京都港区東新橋1-5-2汐留シティセンター)
ハイブリッド開催 集合 + オンライン配信(ZOOM)
※会場は100名まで可能ですが、新型コロナ感染の状況を踏まえ、参加にあたりましては各自でご判断いただきますようお願いします。
参加対象 SS研会員に限らず、どなたでも参加可能。
参加費 無料
参加申込み [開催済]
その他 SS研では本フォーラム以外に以下のオープンフォーラムを開催します。
ご興味がございましたら是非ご参加ください。

開催趣旨

 2022年6月のTop500に1EFlops超のシステムであるFrontierが登場し、富岳が1位では無くなったようにHPCは常に開発が続いています。しかしながら、ポストムーアと呼ばれるように、現在はこれまでと同じような微細化に伴う性能向上は期待できない時代が来ています。このような中、今後のHPCはどうなるのか、はっきりとした姿はまだわかりません。そこで本フォーラムでは、「近未来HPC ~未来を切り拓くコンピューティング・アーキテクチャ~」と題し、現実感のある近い未来を想定したコンピューティング・アーキテクチャに関して講演を行います。今回は現地での参加者は限られた数になりますが、オンサイトとオンラインのハイブリッド開催となります。参加しやすいオンラインと臨場感のある現地での参加の良いところを活用し、近未来のHPCがどのような姿になり、どのようなアーキテクチャが想定されるか皆様とともに議論を行いたいと考えます。

プログラム(敬称略)※予告なく変更する場合がございます。予めご了承ください。

【公開可能な資料のみ順次本ページに掲載予定】

13:00- 開始
[前半司会]田中 輝雄(工学院大学)
13:00-13:05
開催趣旨説明
深沢 圭一郎(京都大学)
13:05-14:05
講演 50分
Q&A 10分
講演
「次世代情報基盤に関するコミュニティ活動と調査研究事業について」
近藤 正章(慶應義塾大学) プロフィール
 

 次世代計算基盤に対しては、計算科学とAI・ビッグデータ技術のさらなる融合やHPC技術の応用範囲拡大など期待が大きい反面、ムーアの法則の終焉など多くの課題が待ち受けている。本講演では、次世代先端計算システムの技術的課題や研究開発要素を白書にまとめた"NGACI (Next-Generation Advanced Computing Infrastructure)"活動と、ALL Japan体制で挑む文部科学省の次世代計算基盤に係る調査研究事業の概要について紹介する。

 スーパーコンピュータ,高性能コンピューティング,次世代計算基盤
14:05-15:05
講演 50分
Q&A 10分
※リモート講演
「量子コンピュータ 過去、現在、そして未来へ」
川畑 史郎(産業技術総合研究所) プロフィール
 

 現在,毎日のように量子コンピュータに関するニュースが飛び交っています。量子コンピュータは量子チューリング機械の原理に基づくコンピュータであり、因数分解、機械学習、量子化学計算などのいくつかの数学的問題を従来の古典コンピュータよりも高速処理できると期待されています。そのため現在、世界規模で量子コンピュータの開発とビジネス展開に向けた激しい競争が繰り広げられています。本講演では、量子コンピュータの基礎、最新研究開発動向、各国政府の動向、課題、展望について解説を行います。

 量子コンピュータ,超伝導量子ビット,人工知能,量子化学,クラウドコンピューティング
 プレゼン資料(9/28掲載)(PDF:7.9 MB)
15:05-15:15 休憩(10分)
[後半司会]南里 豪志(九州大学)
15:15-16:15
講演 50分
Q&A 10分
講演
「脳のように学ぶ新しい深層学習手法の開発」
篠崎 隆志(近畿大学) プロフィール
 

 脳は記憶と演算の両方を行うニューロンの集合体として、極めて高い並列性とエネルギー効率、スケーリングを実現している。我々は、脳のような大規模で高効率な演算の実現を目標に、深層競合学習と呼ばれる手法を提案してきた[Shinozaki 2021]。現在、超並列性と局所演算の柔軟さから本手法にマッチした特性を持つGraphcore IPU-POD8システム上で開発を進めており、本講演ではその実装と開発環境について紹介する。

 脳型情報処理, 深層学習, 教師なし学習, 半教師あり学習, 特徴抽出
16:15-17:15
講演 50分
Q&A 10分
講演
「量子インスパイアードコンピューティング デジタルアニーラとその応用」
岩井 大介(富士通株式会社)プロフィール
 

 ムーア則の終焉に伴い、最近紙面を賑わわせているのは量子ゲートコンピューティングだが、その社会実装には、まだしばらくの時間を要すると考えられる。そのような状況の中で、今、社会実装可能な技術として注目されているのが、量子インスパイアード技術であり、デジタルアニーラもその一つである。本講演では、デジタルアニーラ技術およびその社会実装事例について紹介する。

 量子インスパイアード, 組合せ最適化問題, デジタルアニーラ, ハイブリッド・コンピューティング, マテリアルズ・インフォマティクス
 プレゼン資料(9/28掲載)(PDF:7.3 MB)
17:15-17:20
閉会挨拶
伊達 進 (大阪大学)

講演者

「次世代情報基盤に関するコミュニティ活動と調査研究事業について」

lecturer
近藤 正章(Kondou Masaaki)
慶応義塾大学理工学部 教授
[略歴]
2003年3月 東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻 修了
2003年4月 科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業 研究員
2004年4月 東京大学先端科学技術研究センター 特任助手
2007年2月 東京大学先端科学技術研究センター 特任助教授
2008年4月 電気通信大学大学院情報システム学研究科 准教授
2013年12月 東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授
2018年11月 理化学研究所計算科学研究センター チームリーダー(兼務)
2021年4月 慶應義塾大理工学部 教授
[研究分野、研究テーマ]
  • 計算機アーキテクチャ
  • 高性能コンピューティング
  • 量子コンピューティング
[所属学会、受賞歴、著書など]
  • 情報処理学会
  • 電子情報通信学会
  • 情報処理学会 山下記念研究賞(2009年)
  • 情報処理学会 論文賞(2013年)

量子コンピュータ 過去、現在、そして未来へ

lecturer
川畑 史郎(Kawabata Shiro)
産業技術総合研究所 新原理コンピューティング研究センター 副研究センター長
[略歴]
1995年 名古屋大学 工学研究科 結晶材料工学専攻 修士課程修了
1998年 大阪市立大学 工学研究科 応用物理学専攻 博士課程修了 (工学博士)
1998年 通商産業省 電子技術総合研究所 研究員
2001年 産業技術総合研究所 研究員
2017年 産業技術総合研究所 研究グループ長
2018年~ 文部科学省 光・量子飛躍フラッグシッププログラム Q-LEAPサブプログラムディレクタ (量子情報処理領域・人材育成プログラム領域)
2019年~ 一般社団法人量子ICTフォーラム 理事
2020年~ 内閣府 ムーンショット型研究開発事業 目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」アドバイザー
2020年~ NEDO 高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発 量子関連コンピューティング技術 プロジェクトリーダー
2021年~ 産業技術総合研究所 副研究センター長
[研究分野、研究テーマ]
  • 量子情報処理
  • 物性理論
[所属学会、受賞歴、著書など]
  • 日本物理学会
  • 応用物理学会
  • "量子情報の物理"(共立出版)
  • "超伝導磁束状態の物理"(裳華房)
  • "量子コンピュータ/イジング型コンピュータ研究開発最前線"(情報機構)
  • 超伝導技術の最前線[応用編]"(近代科学社)

「脳のように学ぶ新しい深層学習手法の開発」

lecturer
篠崎 隆志(Shinozaki Takashi)
近畿大学 情報学部 准教授
  2000年3月東京理科大学理学部応用物理学科卒業。2006年3月東京大学新領域創成科学研究科複雑理工学専攻終了。博士(科学)。その後、理化学研究所脳科学総合研究センター基礎科学特別研究員、ニューヨーク大学神経科学センターポスドク研究員、情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター研究員を経て、2022年4月より近畿大学情報学部准教授。脳型情報処理技術の確立を目標に、計算論的神経科学と深層学習の研究に従事。日本神経回路学会、日本視覚学会、Society for Neuroscienceの各会員。2022年度日本神経回路学会論文賞受賞。

量子インスパイアードコンピューティング
 デジタルアニーラとその応用

lecturer
岩井 大介(Iwai Taisuke)
富士通株式会社 Strategic Engagement Office エグゼクティブディレクター
[略歴]
 株式会社富士通研究所に入社し、化合物半導体デバイス(高周波、ハイパワーデバイス)、その応用としての携帯端末向けMMICパワーアンプ、基地局向けハイパワーアンプ、ナノマテリアルなど幅広いハードウェアテクノロジーの研究、実用化に従事。2018年から、デジタルアニーラの研究開発を牽引、2020年からは富士通株式会社に移り、CaaS/デジタルアニーラの技術開発からビジネスまでを推進している。
[研究分野、研究テーマ]
  • 量子インスパイアードコンピューティング
  • 組合せ最適化問題
  • マテリアルズ・インフォマティクス
[所属学会、受賞歴、著書など]
  • IEEE