大村和人
| 「中国思想のエッセンスⅠ 異と同のあいだ」 溝口雄三(著)岩波書店 |
| 現在の中国を理解するためには、中国宋代以降の歴史や思想を理解することも不可欠ですが、著者は宋代から近代にかけての中国思想研究の第一人者です。この本は中国思想における幾つかの重要な概念の核心を解説してくれます。特に「公と私」は必読。 |
| 「中国文明選12 史学論集」 川勝義雄(著)朝日新聞社 |
| 近年、日中関係を語る上で「歴史“認識”」ということばをしばしば耳にします。しかし、そもそも「歴史とは何か」という点、言い換えれば「歴史“意識”」が日中の間で一致していないようにも見受けられます。「歴史“認識”」について語る前に、相手にとって「歴史とは何か」ということを理解することも重要ではないでしょうか。そのことを考える際に、この本は必ずや何らかの有益なヒントを与えてくれるでしょう。 |
| 「荘子・内篇」・「荘子 外篇」・「荘子・雑篇」(全3冊) 荘周(著)福永光司・興膳宏(訳)ちくま学芸文庫 |
| 「人生訓」の書というよりは、「モノの見方」「モノの考え方」を屈折した方法で教えてくれる本であり、刺激的な「文学作品」でもあります。なお、読了後に読者がどうなっても、私は責任を持てません。 |
| 「中国近代の思想文化史」 坂元ひろ子(著)岩波書店 |
| 中国の清末から中華人民共和国成立期までの約100年間は混乱が長く続き、新しい時代の人間のあり方や国のかたちに関する議論の変遷は複雑です。本書は多様なジャンルに配慮しながら、中国近代思想の変遷の道程を分かりやすくまとめて読者に提示してくれます。今の中国もこの道程から続くものですので、現代中国を理解する上でも本書は必読書と言えます。 |
| 「思想史家が読む論語―「学び」の復権」 子安宣邦(著)岩波書店 |
| 巷間に溢れる『論語』の注訳本のほとんどは注釈者の結論が提示されるのみですが、本書は様々な注釈を参照しながら筆者の思考の道筋が述べられ、非常にエキサイティングです。現代に生きる私たちが「古典」を読むということは、先行する解釈を参照しながら自分なりにそれらの内容を咀嚼し、自分の思想を固めるという重要な「学び」の営為の一つであるということを本書は教えてくれます。 |
| 「近代中国史」 岡本隆司(著)筑摩書房(ちくま新書) |
| 在の中国を理解するためには、中国宋代以降の歴史や思想を理解することも不可欠ですが、著者は中国近代史研究の大家です。この本は新書ですが、中身は非常に濃いです。中国社会の複雑な構造とその変遷を理解する上で必読! |
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