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合同分科会 2023年度会合 「イノベーション」

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日時 2023年10月26日(木) 分科会 13:30~17:45
開催方法

ハイブリッド開催 集合+オンライン開催(Zoom)

会場 場所:神戸国際会議場
集合開催(当日の各講演の配信予定はありません。)
※新型コロナ感染の状況を踏まえ、参加にあたりましては各自でご判断いただきますようお願いします。
参加対象 SS研会員機関にご所属の方
参加費 無料
参加申し込み 開催済
その他 本会合は、2023年度秋イベント(26日:システム技術分科会、合同分科会、27日:科学技術計算分科会教育環境分科会の一部です。)

開催趣旨

 現在、生成AIが大きな注目を集めています。その発展は計算機性能の向上とビッグデータの 増加によって日々加速されています。しかし、社会を変えうる技術は生成AIだけではありま せん。私たちの社会が直面している課題は多岐にわたり、これらの課題を解決するためには単 一の技術だけではなく、様々な技術やアイディアを組み合わせて新たなイノベーションを生 み出すことが必要です。 今年の合同分科会では、「イノベーション」をテーマに、各分野で進められているイノベーシ ョンの芽を紹介します。それぞれの分野でどのような未来(ビジョン)を想定し、そのビジョ ンに向けた現在の行動をバックキャスティングしているかについて触れることで、皆さまの 新たな気付きにつながり、イノベーションの一助となれば幸いです。

プログラム(敬称略)※予告なく変更する場合がございます。予めご了承下さい。

【公開可能な資料のみ会合後に掲載予定】

Session1 [司会]荒井 亮太(富士通)
13:30-13:40
会長挨拶
岡村 耕二 (九州大学情報基盤研究開発センター)
開催趣旨説明
立川 智章 (東京理科大学)
13:40-14:25
講演 35分
Q&A 10分

講演1
環境研究のイノベーション 衛星とサプライチェーンまで
金本 圭一郎 (総合地球環境学研究所)プロフィール
 

 私達の消費は、サプライチェーンを通じて、その消費地とは全く違った場所で様々な環境問題を引き起こしている。しかしながら、今朝飲んだコーヒーが、ブラジルで引き起こした森林伐採や生物多様性の損失をたどることは難しい。本研究では、社会科学と自然科学の共同のために必要なイノベーションの芽を紹介する。

サプライチェーン, 環境問題, 衛星, 消費, 生物多様性
14:25-15:10
講演 35分
Q&A 10分

講演2
福井県に於ける衛星データ利活用の推進
利用事例とシステムのご紹介
山西 康介 (株式会社ネスティ)プロフィール
 

 福井県では「福井県民衛星プロジェクト」と銘打ち、宇宙産業を新たな地域の産業とすべく産学官金が一体となり、プロジェクトに取り組んでいます。福井県民衛星「すいせん」は全国初の自治体主導の超小型人工衛星として2021年の3月22日に無事打ち上げが成功し現在も安定して観測を行っています。当社は富士通さんと共に福井県及び県内の自治体向けに衛星データを利用した地域改題解決型のソリューションを開発・提案しています。本公演では利用例やシステムの内容等をご説明させて頂きます。

衛星データ利活用, 森林, 農業, 河川管理, 防災, 観光
15:10-15:25 休憩(15分)
Session2 [司会]楫 勇一(名古屋大学)
15:25-16:10
講演 35分
Q&A 10分

講演3
我々は宇宙で孤独な存在なのか?
地球外生命探査に向けた試行錯誤
大石 雅寿 (国立天文台)プロフィール
 

生命はどのように始まったのか?この人類の長年の疑問に宇宙的視点から取り組むのが、天文学、物理学、化学、生物学、地球物理学などの学際協力によるアストロバイオロジーである。太陽系外惑星が5000個以上発見され、その中には生命を育む環境もあると考えられている。太陽系内にも地球以外に生命存在の可能性がある。講演では、いつ成功するか分からない、常識にとらわれない発想が必要な地球外生命探査に向けた取り組みをご紹介する。

地球外生命探査, アストロバイオロジー, 非常識な発想, 我々は孤独?, 学際協力
16:10-16:55
講演 35分
Q&A 10分

講演4
デジタルツインによる製造業イノベーション
松尾 裕一 (東京理科大学)プロフィール
 

 デジタルツインは,M.Grievesが2002年にPLMコースでその概念を提唱し,2012年にNASAが宇宙機の寿命予想にはじめてデジタルツインという言葉とともに使ったとされる.2019年にはガートナーが注目ワードの一つに挙げ,最近では,製造業だけでなく建築・土木,防災,ヘルスケアなど様々な方面でデジタルツインという言葉を見聞するようになった.ただ,主にコンセプトが先行し,内容,実態,課題,将来展望などについて興味を持たれている方は多いと思う.我々は,デジタルツインは技術ではなく仕組みや枠組みと捉えており,計測と解析の融合,ITとOTの融合,リアルタイム処理といった新たな技術的側面を炙り出していると考えている.本講演では,イノベーションの材料としてデジタルツインについて製造業の状況や課題・展望を述べるとともに,東京理科大学における教育や人材育成における適用例を紹介する

デジタルツイン, サイバー・フィジカル・システム, IoT, データ駆動, リアルタイム処理
16:10-16:55
講演 35分
Q&A 10分

講演5
量子通信におけるイノべーション
永山 翔太 (慶応義塾大学)プロフィール
 

この講演では、量子コンピュータとその応用領域である量子インターネットに焦点を当てます。量子コンピュータは、単なる高性能計算機以上の存在であり、量子力学に基づいた新たな計算のパラダイムを開拓しています。さらに、これらの量子コンピュータをネットワーク化することで生まれる「量子インターネット」は、遠隔地の量子コンピュータの連携はもちろん、量子センサーデータの効率的な流通や破られることのない暗号システムの実現が期待されています。本講演では、量子情報技術の多面的な魅力を解説するとともに、この学際的な領域が育む多様なサブフィールドについても紹介します。研究開発の最新動向から、未来に向けた展望、さらには世界的な量子情報技術の競争状況についても議論します

量子コンピュータ、量子ネットワーク、量子インターネット、量子情報技術
17:40-17:45
閉会挨拶
野田 茂穂 (理化学研究所)
17:45-18:10 休憩、懇親会準備(15分)
18:10-19:30
懇親パーティ

※会費制:3,000円(当日受付にて申し受けます)

  • 司会:山田 久仁 (富士通)
  • 乾杯:松本 多恵 (総合地球環境学研究所)
  • 歓談
  • 中締め:副会長 高木 亮治(JAXA)

講演者

環境研究のイノベーション
衛星とサプライチェーンまで

lecturer
金本 圭一郎(Kanemoto Keiichiro)
総合地球環境学研究所・東北大学大学院環境科学研究科
[略歴]
東北大学大学院環境科学研究科博士後期課程終了(学術)。九州大学持続可能な社会のための決断科学センター講師、信州大学経法学部講師を経て、現在は総合地球環境学研究所准教授と東北大学大学院 環境科学研究科准教授をクロスアポイントメントで兼任。
[研究分野、研究テーマ]
  • 産業エコロジー
  • 計算サステナビリティ学
  • 環境経済学
  • 産業連関分析
  • ネットワーク分析
[所属学会、受賞歴、著書など]
  • 国際産業エコロジー学会
  • 国際産業連関学会
  • 日本LCA学会

福井県に於ける衛星データ利活用の推進
利用事例とシステムのご紹介

lecturer
山西 康介(Yananishi Kousuke)
株式会社ネスティ システム開発本部 システム開発部 新技術研究開発課 宇宙ビジネスエンジニアグループ マネージャー
[略歴]
2009年神戸大学国際文化学部を卒業。同年、株式会社富士通アドバンストソリューションズ(現 富士通株式会社)に入社し公共系のシステム開発に従事。その後、2014年に同社を退社し、地元福井にUターンし株式会社ネスティに入社。2016年の「福井県民衛星プロジェクト」のスタートに合わせ、同プロジェクトの社内担当に着任。以降福井県内を中心に衛星データ利活用の推進とソリューション開発に従事。
 

我々は宇宙で孤独な存在なのか?
地球外生命探査に向けた試行錯誤

lecturer
大石 雅寿
国立天文台 周波数資源保護室 アドバイザー
[略歴]
1958年青森県八戸市生まれ。青森県立八戸高校卒業。京都大学理学部、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻を修了。理学博士。2023年3月に国立天文台を定年退職。専門は、電波天文学、アストロバイオロジー。大学院時代から国立天文台野辺山にある45m電波望遠鏡などを用いて宇宙空間の分子を多数発見。アストロバイオロジーという言葉が発明された頃から、大学院時代から心に秘めていた宇宙アミノ酸の本格的探査に乗り出す。国際天文学連合アストロバイオロジー委員会のpresidentや国際電気通信連合電波天文作業部会の議長を始め、多数の国際役職を務めた。
 

デジタルツインによる製造業イノベーション

lecturer
松尾 裕一
東京理科大学 工学部情報工学科 教授
[略歴]
1989年4月 - 2003年9月 航空宇宙技術研究所
2003年10月- 2020年3月 宇宙航空研究開発機構
2020年4月 - 現在    東京理科大学
[研究分野、研究テーマ]
  • 航空宇宙工学
  • 数値流体力学,計算工学
  • スーパーコンピュータ,並列処理
[所属学会、受賞歴、著書など]
  • 日本機械学会
  • 日本航空宇宙学会
  • 日本流体力学会
  • 日本計算工学会
  • ゴードンベル賞(1996年)

量子通信におけるイノべーション

lecturer
永山 翔太(Nagayama Shota)
株式会社メルカリ R4D(研究開発部) シニアリサーチャー
慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特任准教授
[略歴]
専門は量子インターネット。特に、量子エラー訂正符号および量子インターネットアーキテクチャ・通信プロトコル。インターネットの研究室で量子情報処理に取り組み、2017年に博士(政策・メディア)を取得。博士号取得後、エトヴェシュ・ロラーンド大学ニューラル情報処理グループ客員研究員で機械学習に取り組んだのち、2018年4月より株式会社メルカリ研究開発部R4Dシニアリサーチャー。2019年に量子インターネットタスクフォースを立ち上げる。2022年6月より、慶應義塾大学政策・メディア研究科特任准教授を兼務。現職中に内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター研究・産学官連携戦略ワーキンググループ委員、2018年度未踏ターゲット事業(ゲート式量子コンピュータ部門)「分散量子計算プラットフォーム」プロジェクト。現在、量子インターネットタスクフォース代表、情報処理学会量子ソフトウェア研究会運営委員を兼任。