今回、龍谷大学での予選会、決戦会を経て、小西さんが「大学ビブリオバトル・オンライン大会 2021」に出場されました。
そこで、予選会参加者から有志に集まっていただきビブリオバトルの魅力などを語っていただきました。
※学年表記は2021年度。座談会は2m以上の対人距離をとり、マスク着用で行いました。
参加者は左から
川口 典男(図書館事務次長)
小西 一穂(文学部2年)
西城戸 月海(文学部4年)
松本 晴陽(経営学部1年)
篠崎 剛蔵(法学部4年)
竹内 真彦(図書館長)
左から
『ホーキング、宇宙を語る』、『八つ墓村』、『追想五断章』、『罪色の環』、『化石探し』
「動機はいろいろ」
今回、ビブリオバトルに参加されたきっかけはなんですか?(川口)
ビブリオバトルは存在すら知らなかったけれど、軽い気持ちでチャレンジしました。(小西)
中学生のときに図書委員をやっていて、ビブリオバトルを経験済みです。大学生になると趣味、指向とかも変わってくるので、どんな雰囲気か体験したくてエントリーしました。(松本)
私は、1 年生のときにも参加したことがあります。今回後輩の松本くんが参加するというのを聞いて、一緒に参加したら助けになるかもと思い久しぶりに申し込みました。(西城戸)
僕は横溝正史が大好きで、その魅力を伝えたいというのが参加動機です。就活をとおして、人前で発表することが楽しいということに気づきました。(篠崎)
4 人それぞれ、参加動機が違いますね。ビブリオバトルでどういうことを伝えようと思ったのですか?(川口)
「伝えたいこと」
同じ本でも、人によって着眼点がちがう。自分の好きなジャンル以外にも、本に向き合うきっかけとなるのがいいですよね。(松本)
ビブリオバトルでは文芸、小説をとりあげる人が多いですよね。短時間で物語のあらすじを紹介することは難しい。なので私は違うものとして、『ホーキング、宇宙を語る』を選びました。文系の私には一読するだけでは理解できなくても、何回か読み返すとわかるところが増えます。車椅子に座っているホーキング博士のことを知っていても、実際にはそれほど読まれていないかと思って。(小西)
私は『八つ墓村』を紹介しましたが、横溝正史と出会ったのは中学生のとき。最初は映像からですが、エンターテインメントとして圧倒的に面白い。その感動をみんなにも知ってほしかったんです。(篠崎)
篠崎君は、ビブリオバトルでのディスカッションでも答える内容がマニアックで、観戦している側にも横溝が大好きだというのが伝わってきました。(川口)
私が選んだ『追想五断章』は結論だけが先にあって、本編となる本を探してね、という構成で、読書好きにはウケるのではと思いました。米澤穂信という名前は知らなくても、アニメ化、映画化された『氷菓』は知ってるという友達が多いです。「こんな作家がいるんだよ」というのも伝えたいと思いました。(西城戸)編集者注: 米澤穂信は第166 回直木賞受賞だが、この座談会はその発表前。
『 罪色の環』は、あとがきが衝撃的でした。テーマは冤罪です。一方が決めつけるだけでは司法が成り立たない。好きな本のなかでもビブリオバトルで紹介するならこれだ!と。(松本)
「あらすじをどこまで説明するか」
では、実際にビブリオバトルでは、どのようなことを意識して発表しましたか。(川口)
あらすじの言い過ぎにならないよう、まずは横溝の説明、そのあとに物語の内容にふれ、感想をしゃべりました。(篠崎)
帯になるようなインパクトのある言葉を探しました。あらすじから観戦者にとっかかりをつかんでほしくて。(松本)
推理小説なので、あらすじをどこで止めるか、ネタバレにならないよう気を付けました。あらすじをどこまで説明するかは、重要なポイントですね。その点、小西さんは小説ではありませんでしたがどう工夫されましたか?(西城戸)
予選会、決戦会、全国大会の3 回で話し方を変えました。内容が難しい本なので、まずみんなが共有できるものを簡潔にしゃべってから、中身を伝えるようにしました。(小西)
今回、オンライン開催で苦労した点とかありますか?(竹内)
発表者からは自分とタイマーだけが見える状態なので、伝わってるのかどうかわからなかったです。(小西)
オンライン講義をするときも生徒役をおいてる場合もあるみたいですし、対面授業では反応を見ながら進めています。一緒ですね。聞き手の反応がパフォーマンスには必要です。一方的にしゃべるのとは全然違う。(竹内)
みなさん、楽しかった?(川口)
はい!(全員)
今回ビブリオバトルを観戦して、学生のみなさんが本について楽しんでしゃべる姿をみて、図書館スタッフとして元気をもらいました。みなさんにとってビブリオバトルに参加する魅力とは何でしょう?(川口)
「ほかの人の好きに触れる」
知ってる本なら自分とはリンクの仕方が違うことを発見できますし、読んでいない本でも距離が近づく。いろんなジャンルが自分に近づく。そういう面白さがあります。(小西)
Amazon のレビュー30 件より、顔が見えている人の紹介の方が説得力あります。生産者の顔が見えるのに似ています。(篠崎)
ほかの人の好きに触れることが楽しい。好きをぶつけ合う瞬間、いろんな思い、そういうものがビブリオバトルにはあります。(松本)
就活において、ほかの人が集団面接で深堀りされるのが楽しかった。その人の人生がわかるようで。ビブリオバトルはそれに通じるところがあるなぁ、と。どこにスポットライトを当てるかとか、他人との違いが楽しい。ゼミ発表や卒業論文もいきなりまとめようとすると難しいけれど、「好きなものを伝えたい!」というところから入っていったらいいと思います。(西城戸)
他人に伝えようとすることで、「自分はここが好きだったんだ」と気づきますね。自己分析することで、将来に向けての人生のきっかけやヒントになるかもしれません。(小西)
ビブリオバトルに向けて、あらためて読み返せたので、より横溝が好きになりましたし、自分の中で消化できました。(篠崎)
「読み返すこと、繰り返しプレゼンすること」
篠崎さん以外の方も、紹介本を読み返したはず。教員目線ですが、「いかにたくさんの本を読むか」と「いかに何度も読み返したか」ということは全然違います。同じものをくり返し読むことで得られるものは大学での学びにおいてもとても大切です。「好きなものについて語ることが、とっかかりになる」というのも重要ですね。(竹内)
今どきの言い方では「推しを布教する」ですね。(西城戸)
全国大会を観戦していると、勝つためにミステリーを選んでいる方が多かったですね。私にとっては、龍谷大学内の予選会の方が面白かった。本選は「勝つためにどうするか」というのが明け透けで…。それに対して、本当に良い学内予選だった。学内決戦会で『化石探し』をとり上げた学生さんがおられましたね。あれも面白かったです。(竹内)
大学生になって参加するビブリオバトルは中学生のときとは違って、先輩方は言葉の使い方が巧みで、段取りが定まっているなと感じました。それができれば、本の魅力を余すことなく伝えられると思うので、私もその方向を目指したいです。(松本)
機会があったら、同じ本でもう1回やったらいいかも。やり直したとき、どう改善するかという実践になります。2度目の再プレゼンは教育としても大事なんだと思います。(竹内)
時間内にまとめて、要点を入れるというトレーニングですね。(西城戸)
ビブリオバトルの観戦、本日の座談会を通じて龍谷大学の学生は、自分が推す本をこんなにうまく、楽しく伝えることができるんだと嬉しくなりました。この経験がいろんな発想などにつながっていけばいいなと期待しています。本日はありがとうございました。(川口)
小西一穂さんは、龍大生として初めて「大学ビブリオバトル・オンライン大会2021」の準決勝(12 月12 日開催)に出場されました。
【「大学ビブリオバトル・オンライン大会2021」全国大会出場大学】
龍谷大学、青山学院大学、大阪経済大学、大阪成蹊大学、鹿児島大学、九州女子大学、皇學館大学、甲南女子大学、郡山女子大学、
四天王寺大学、城西大学、大東文化大学、千葉大学、鎮西学院大学、筑波大学、帝京大学、東海大学、東京大学、東洋大学、東北学院大学、
奈良女子大学、人間環境大学、広島大学、広島修道大学、茨城女子短期大学、大阪成蹊短期大学、日本赤十字九州国際看護大学、福岡女子短期大学。