SS研HPCフォーラム2023 自然言語処理と高性能計算~シナジーを探る~

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日時 2023年8月21日(月) フォーラム 13:30-17:15
開催方法

ハイブリッド開催 集合+オンライン開催(Zoom)

会場

場所:富士通汐留本社24階大会議室
(住所:東京都港区東新橋1-5-2汐留シティセンター)
ハイブリッド開催 集合 + オンライン配信(ZOOM)
※参加にあたりましては各自でご判断いただきますようお願いします。

参加対象 SS研会員に限らず、どなたでも参加可能。
参加費 フォーラム:無料
懇親会:500円(当日会場受付にて申し受けます。)
参加申し込み 開催済み
その他

SS研では本フォーラム以外に以下のオープンフォーラムを開催します。
ご興味がございましたら是非ご参加ください。

開催趣旨

自然言語処理において、従来から多様な高性能計算技術が積極的に利用されてきました。特に最近では、大規模言語モデルを用いた機械学習で新たな進歩が遂げられており、注目を集めています。本フォーラムでは、このような大規模な言語処理と高性能計算技術の関係に焦点を当て、それぞれの立場で研究に携わられている皆様を講演者としてお招きし、これまでの取り組みを紹介していただくとともに、今後の展望についてお話しいただければ、と考えております。本フォーラムが、講演者の皆様からの洞察をもとに、大規模言語処理と高性能計算の両分野の最新動向を理解し、未来の可能性を探求する有益な機会となることを期待しています。

プログラム(敬称略)※予告なく変更する場合がございます。予めご了承下さい。

【公開可能な資料のみ、開催後に順次本ページに掲載予定】

13:30- 開始
[前半司会]伊達 進(大阪大学)
13:30-13:35
開催趣旨説明
南里 豪志(九州大学)
13:35-14:15
講演 30分
Q&A 10分

講演1
「生成AIが投げかけるもの~生成AI時代の行く末~」
穴井 宏和
(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所客員教授/富士通株式会社 富士通研究所 プリンシパルリサーチディレクター)プロフィール

 深層学習のもたらした第3次AIブームを経て、今まさにAIが予測・認識・判別から生成まで圧倒的な高い知的レベルを達成し、世の中へ絶大なインパクトを与えている。本講演では、大規模言語モデルやChatGPTをはじめとする生成AIの出現を受け、とてつもないスピードで進化するテクノロジーの功罪を理解しどのように対処し活用していくべきなのか、また、どのようにテクノロジーが発展し浸透していくのか、我々の取り組み事例を取り上げながら考察する。

生成AI, 大規模言語モデル, ChatGPT, AIトラスト
14:15-14:55
講演 30分
Q&A 10分

講演2
「ChatGPTが開く新世界」
松田 卓也
(神戸大学名誉教授/ブロードバンドタワーAI2オープンイノベーション研究所)プロフィール

 2022年11月30日にOpenAIからChatGPTが発表されて、瞬く間に世界を席巻した。2023年3月にはChatGPT plusが発表されて、基本的なエンジンがGPT-3.5からGPT-4に変わった。これらの出来事は人類史を変えるイベントであるというのが私の認識である。ChatGPTが発表される以前の世界はBC(紀元前:Before ChatGPT)であると言っても過言でない。現状のGPT-4の知的能力は言語能力においては人間を圧倒しているが論理数学能力では普通の人間と同等程度である。論理数学能力において人間の知的能力を圧倒するようになったものが超知能である。超知能の出現は2029年まで起きるだろうと言うのが私の予想である。そうなると世界は後戻りできない変化を被る。これがシンギュラリティである。シンギュラリティは近い。

人工知能, 大規模言語モデル, 超知能, シンギュラリティ
14:55-15:35
講演 30分
Q&A 10分

講演3
「BERT/RoBERTa/DeBERTaモデルによる多言語係り受け解析」
安岡 孝一(京都大学)プロフィール

 係り受け解析は、言語処理の基礎的手法であると同時に、ヒトとコンピュータが言語の構造を共有する手段の一つである。BERTやGPTに代表される言語モデルの発展により、複数の言語にまたがる解析手法が現実的になってきたが、かえってそれは、言語間の差異を顕わにする結果となった。では、多言語にまたがる係り受け解析は実現可能なのか。HPCは、それにどう寄与しうるのか。本発表では、BERT/RoBERTa/DeBERTaモデルをもとに、多言語にまたがる係り受け解析について考察する。

言語モデル,孤立語,膠着語,隣接行列,接続確率
15:35-15:50 休憩(15分)
[後半司会]佐藤 賢斗(理化学研究所)
15:50-16:30
講演 30分
Q&A 10分

講演4
「対話型文章生成AIの構築技術 
 各構成技術の役割や導入背景などの解説」
鈴木 潤(東北大学)プロフィール

 ChatGPTに代表される対話型文章生成AIが,研究分野のみならず産業界や一般社会においても注目を集めている.対話型文章生成AIはニューラルネットによる言語モデルを基本(出発点)として幾つかの要素技術の集合体として構築されている.本講演では,対話型文章生成AIを構築する際に用いられる要素技術の集合をおおまかに整理して紹介する.また,各技術の役割や導入背景などを説明し,どのような過程を経て現在の対話型文章生成AIに到達したのかについて説明する.

自然言語処理, 機械学習, 対話型文章生成AI, 言語モデル, 大規模分散学習
16:30-17:10
講演 30分
Q&A 10分

講演5
「日本語とマルチ言語の混合データセットにおける
 大規模言語モデルの構築」
小島 武(東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻)プロフィール

 近年、大規模言語モデルの飛躍的な発展により、地域に特化した言語(例:日本語)でのモデル構築が盛んとなっている。本講演では、日本語とマルチ言語(英語主体)の混合データセットを用いて、大規模言語モデルを事前学習により構築し、日本語単体データセットでの事前学習と比べた時のパフォーマンス差異を実証する。

大規模言語モデル, スケール則, マルチ言語, 日本語, 分散学習
17:10-17:15
閉会挨拶
片桐 孝洋 (名古屋大学)
17:15-17:30 休憩、懇親会準備(15分)
17:30-19:00
懇親会(会員外ベンダーの参加はご遠慮いただきます。)
※会費制:500円
お飲み物とおつまみの簡易懇親会です。お気軽にご参加ください。

講演者

「生成AIが投げかけるもの ~生成AI時代の行く末~」

lecturer
穴井 宏和(Anai Hirokazu)
九州大学マス・フォア・インダストリ研究所客員教授
富士通株式会社 富士通研究所 プリンシパルリサーチディレクター
[略歴]
1991年4月  株式会社富士通研究所 国際情報社会科学研究所 入社
1999年10月- 2000年9月 Universit?t Passau 数学・情報学部 客員研究員(代数).
2003年10月- 2009年3月 科学技術振興機構 CREST「数値/数式ハイブリッド計算に基づくロバスト最適化プラットフォームの構築』研究代表者.
2008年4月 - 現在 九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 客員教授(2023年まで招へい教授)
2012年4月 - 2023年3月 国立情報学研究所 客員教授
2015年4月 - 現在 東京工業大学 非常勤講師(環境・社会理工学院. 2020年より工学院併任)
2019年4月 - 現在 科学技術振興機構 ACT-X「数理・情報のフロンティア」 領域アドバイザー
2019年4月 - 現在 科学技術振興機構 CREST「数学・数理科学と情報科学の連携・融合による情報活用基盤の創出と社会課題解決に向けた展開」 領域アドバイザー
2021年4月 - 2023年3月 富士通株式会社 富士通研究所 人工知能研究所 所長
2023年4月 - 現在 科学技術振興機構ACT-X「次世代AIを築く数理・情報科学の革新」領域アドバイザー
2023年4月 - 現在 富士通株式会社 富士通研究所 人工知能研究所 プリンシパルリサーチディレクター
[研究分野、研究テーマ]
  • 人工知能・数式処理・数理最適化・システム制御
  • 数理・AIに基づく社会課題解決(ソーシャル数理)
[所属学会、受賞歴、著書など]
  • 人工知能学会 2018年度現場イノベーション賞 金賞(2019)
  • 日本オペレーションズ・リサーチ学会 第41回実施賞(2017)
  • 計測自動制御学会 論文賞(2015)
  • 「QEの計算アルゴリズムとその応用―数式処理による最適化」(東京大学出版会, 2011)
  • 「数理最適化の実践ガイド」(講談社サイエンティフィック,2013)
  • 「今日から使える!組合せ最適化 離散問題ガイドブック」(講談社サイエンティフィック,2015)

「ChatGPTが開く新世界」

lecturer
松田 卓也(matsuda Takuya)
神戸大学名誉教授
ブロードバンドタワーAI2オープンイノベーション研究所
[略歴]
1965年3月 京都大学理学部物理学科卒業
1970年3月 京都大学大学院理学研究科物理学第二専攻博士課程 理学博士
1970年4月 京都大学工学部航空工学科助手
1973年4月 同助教授
1992年5月 神戸大学地球惑星科学科教授
2006年3月 同定年退職
[研究分野、研究テーマ]
  • 天体物理学における数値シミュレーション
  • 流体力学のアルゴリズム開発
[所属学会、受賞歴、著書など]
  • 日本天文学会 所属
  • 「2045年問題」2012年 廣済堂出版
  • 「間違いだらけの物理学」2014年 学研教育出版

「BERT/RoBERTa/DeBERTaモデルによる多言語係り受け解析」

lecturer
安岡 孝一(Yasuoka Koichi)
京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター教授
[略歴]
 1990年4月 京都大学大型計算機センター助手
 1997年8月 京都大学大型計算機センター助教授
 2000年4月 京都大学人文科学研究所附属漢字情報研究センター助教授
 2007年4月 京都大学人文科学研究所附属漢字情報研究センター准教授
 2009年4月 京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター准教授
 2015年4月 京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター教授
[研究分野、研究テーマ]
  • 人文情報学、多言語情報処理論
[所属学会、受賞歴、著書など]
  • サイエンティフィック・システム研究会エクセレントソフトウェア賞(2002)
  • 情報処理学会論文誌ジャーナル特選論文(2018)
  • 情報処理学会山下研究記念賞(2019)

「対話型文章生成AIの構築技術各 構成技術の役割や導入背景などの解説」

lecturer
鈴木 潤(Suzuki Jun)
東北大学 データ駆動科学・AI教育研究センター 教授
2001年から2018年まで日本電信電話株式会社コミュニケーション科学基礎研究所にて研究員および特別研究員(Distinguished Researcher)として勤務.2018年,東北大学大学院情報科学研究科准教授に着任し,2020年より現職.2005年奈良先端大学院大学博士後期課程修了 博士(工学).2008年から2009年までMIT CSAIL Visiting Researcher.2017年より理化学研究所革新知能統合研究センター 客員研究員.2020から2022年までGoogle LLC Visiting Researcher.主として自然言語処理,機械学習,人工知能に関する研究に従事.情報処理学会,人工知能学会,言語処理学会,ACL,AAAI各会員.また,言語処理学会理事,ACL Rolling Review Editors in Chief,

「日本語とマルチ言語の混合データセットにおける大規模言語モデルの構築」

lecturer
小島 武(Kojima Takeshi)
東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻
[略歴]
2023年~ 東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻 特任研究員
2023年 東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻 博士課程修了
[研究分野、研究テーマ]
  • 深層学習、大規模言語モデル
  • 基盤モデルの効率的な知識転移に関する研究
[所属学会、受賞歴、著書など]
  • 2023工学系研究科長賞