絵本から学ぶこと

第40回(令和2年度)

全国高校生読書体験記コンクール県入選

渡辺瑚子さん(私立新潟清心女子高等学校)

(取り上げた書名『はじめてのおつかい』/著者名:筒井頼子/出版社名:福音館書店)

(取り上げた書名『ゴリラのパンやさん』/著者名:白井三香子/出版社名:金の星社)

普段から本を読むような人ではない私だが、まだ小さい頃は絵本を読むことが大好きだった。この文を書くために本を探し始めたが、すぐに一冊の本に目がいった。

「はじめてのおつかい」幼稚園や小学校低学年の時に、一番好きだった本だ。主人公の5歳のみいちゃんがお母さんに頼まれて初めて一人で牛乳を買いに出かける話。途中、ハプニングが起きるけど、家族のためにと諦めずにおつかいをやり遂げる。

小さい頃にこの本を読んだ私は、みいちゃんと同じ気持ちになって、ドキドキと不安な気持ちで読んでいた。実際に自分もはじめておつかいをした時は、不安な気持ちでいっぱいで、すれ違う人でさえ怖く感じ、決してワクワクな感じではなかったのを覚えている。

だが、みいちゃんよりも年上になった今、手に取って読んでみると、今度はみいちゃんの頑張りを応援する側の気持ちになり、心が動いた。おつかいを終えたみいちゃんの顔が大人っぽく見えた。

この本が私に教えてくれたことは、なにかに挑戦するのは緊張や不安でいっぱいだけど、挑戦しないと人は成長することができないということ。小さい頃はまだ理解できなかったけど、少し大人になった時に気づいた。私の両親は、私が挑戦したいということは、何でも応援してくれる。私が今までで一番成長につながったと思うのは、英語を勉強したいと言ったことだと思う。その言葉が始まりとなり、塾に通いはじめ、英検にも挑戦するようになり、今では英語を熱心に学ぶことができる清心に通っている。

でも、誰にでも上手くいかない時もある。私自身も、英語のことに限らず、部活の発表会など、大勢の人の前に立った時に、何度も失敗してしまったことがある。その時に、この絵本から学んだもう一つのことが頭に浮かんだ。それは、失敗しても恐れないこと、みいちゃんのように強い意志を持って成し遂げることだ。このことを大切にして、失敗しても前を向き続けることを心がけている。

さらに家の中を探していると、別の絵本が出てきた。「ゴリラのパンやさん」この本も大好きでよく読んでいた思いでの絵本だ。ゴリラがパン屋さんを始めるが、動物たちは怖がって買いに来ない。ゴリラは色々考え、優しくいらっしゃいと言ってみたりするが、みんな外見を見ただけで怖がって逃げてしまう。でも、最後はこうさぎが優しいゴリラだと見抜き、人気のパン屋さんになるという話。

今回の機会にもう一度読んでみた。すると、表紙をめくったところに、人は、外見や生まれ、育ちなどで、相手を評価してしまいがちです。外見で判断されて、冷たいしうちを受けた時の悲しさは、自分が体験してみないとわからないものです。小さい子どもたちは、大人になっても「心の目」をなくさずにいてくれることを願っています。と書かれていることに気づいた。これを読んで私は、確かに子どもの頃は「心の目」を持って正しく友達を作るけど、だんだん大きくなるにつれて、人を外見だけで判断する人が多くなっている様な気がするなと思った。そして実際に自分も、相手の顔を見ただけで、勝手に自分のイメージをその人にあてはめてしまうことがあるなと思った。と同じに、そのことで傷ついている人が現実にたくさんいるのだろうとも思った。やはり人を外見で判断するのは間違っている。筆者の言うような「心の目」を大人になっても持ち続けている人が一人でも多くいれば、悲しみを感じる人が少なくなって、明るい世界が広がるなと思った。

高校一年生が始まって、三分の一が終わった。高校生になってすぐ、友達と馴染む前で全員の顔と名前が一致しないまま休校になってしまったりしたけど、今だからこそ、「心の目」を大切にしたいと思った。

また、今だからこそ、新しいことに挑戦するチャンスだと思う。大学授験やその先の将来に向けて、失敗を恐れず様々なことに挑戦したい。

絵本から、こんなに大切なことを学んでいたのだなと思い、筆者のメッセージの熱い思いに心打たれた。絵本の世界は広いなと感じるいい機会だった。

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