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サポートスタッフのイチオシ本
#生理の貧困:#PeriodPoverty
なぜ女性のからだが軽視されてきたのか知ることから… 今年10月22日に「おとなの性教育」という講演会がWith You さいたまで開催され、私も参加した。この課題についてさらに知りたくなっていた時に本書に出会った。 本書はこれに関連した図書で、生理にまつわる課題を経済・社会学・医学・教育・ジェンダー・メディアなど様々な側面から考察している。執筆者もそれぞれの専門家や活動家と多彩である。入門書としてコンパクトにまとめられているのでお勧めしたい。 「生理の貧困」問題はSNS上での小さな声から広がっていった。「生理の貧困」という言葉は訳語で、生理にまつわる困った状態を誰もが解消されるような社会を目指す運動のキーワード。諸外国では数年前から、実情が明らかにされ、対応が始まっていた。 日本ではコロナ禍で民間団体が調査をし、「タブー視」と「情報不足」が明らかになった。この結果が話題になり、認知が広まったが、この活動に対するバッシングも起きている。 そもそもなぜ女性のからだが軽視されてきたのかというと、女性への差別があり、日本の社会制度や学校教育が、男性のからだの仕組みを前提に作られてきたことと関係があるという。実は私も娘たちも、生理で嫌な思いをしたり、婦人科系疾患を見過ごされたりしたが、余程親しい人にしか話題にできない社会の雰囲気を感じてきた。 女性自身も科学的な視点で自分の体を知る必要があると思うし、避妊をはじめ、自分が迷った時に最新情報を知る機会が欲しいと感じる。そして男性も生理を学習する機会があれば社会が変わっていくのではないかと思った。(S.S) | ||
著者・出版社・出版年 | #みんなの生理(福井みのり) [ほか] 著・日本看護協会出版会・2021.11 | |
請求記号 | 495.13/セ |
「小児性愛」という病: それは、愛ではない
子どもに与えられたものは愛ではなく、暴力です! 筆者は、精神保健福祉士としてアルコール依存症を中心に様々な依存症治療に携わりながら、性犯罪者の再発防止に努めている。私は、2019年にWith You さいたまで開催されたメンズプロジェクト講座で筆者の「どうしたら痴漢をなくせるか」というテーマの講演を聞いたことがあった。その後も増加する一方の小児の性犯罪報道に接して、一体どのような人物が性加害をするのか知りたくて、講座を思い出し本書を読んでみた。 本書に出てくる男性たちは、自分は子どもを愛しており、子どもも喜んでいると錯覚しながら性加害行為を繰り返す。「認知の歪み」による行為や告白の描写はおぞましい限りで、その自分勝手さに対して抑えきれない怒りが込み上げてくる。児童ポルノが犯罪の抑止になり得ないどころか、実際に子どもを狙った性犯罪のきっかけになりやすいこと、子どもに関わる仕事を選ぶ傾向にあるなど、犯人たちの犯行動機や手口には戦慄するばかりだが、こうした実態はもっとよく知られてほしいし、いろんな立場の人に読んでほしいと思う。それが再犯防止につながるからである。 小児性犯罪の再犯率は高い。女性の加害者もいないはずはないが、統計的には圧倒的に男性が加害者を占めており、本書では男性加害者のみを扱っている。筆者は多くの事例を通して、この社会は子どもに性被害をする男性たちに寛容であり、小児性犯罪とはそれを男性が学習した結果なのだと断言する。女性にかわいさと未熟さを求めるというこの社会が変わらなければ子どもへの性犯罪はなくならない。一刻も早く、日本社会に男女は対等であるという考えが浸透し、男性が常に優位でいなければ成らないという強迫的な思い込みから解放される日が来ることを心から願う。(F.N) | ||
著者・出版社・出版年 | 斉藤章佳著・ブックマン社・2019.11 | |
請求記号 | 368.64/シ |
人生がときめく片づけの魔法 改訂版
「ときめき」を大切に、これであなたの人生が変わるかもしれない コロナ禍の自粛生活の中で片づけに目を向けた人が多いと聞く。私もその一人。 子どもたちに片づけなさいと言い続けてきた。でも、自分自身を振り返ったとき、どこまで片づけができていただろう。片づけには、これまで何度も挫折してきた。でも、まあ適当に片づいているし、物が多いのはしょうがないと思っていた。 著者がこの本で強調しているのは、片づけは手段で目的は「現状を変えたい、人生をリセットしたい、輝かせたい…」ということ。そのための、キーワードが「ときめき」と「一気に」。片づけの対象となるものを、全部出して、「一つひとつ手にとり、ときめくモノは残し、ときめかないモノは捨てる。それを一気にやる」。一番大切なことは、何を残すかを見極めること。役目を終えたモノへの感謝も忘れずに。 「本当にときめくこと」に大いに時間と情熱を使う。本当の人生は「片付けたあと始まる」。これは、片づけのテクニックではなく、片づけを通しての人生の再構築である。 片づけは、家事の一部、子育てと同じように女性の役割というような固定観念がまだ根強いのではないだろうか。「片づけも満足にできない女性が…」という声がいまだに聞こえてきたりもする。ときめく生き方につながるということばに、そんなことも改めて意識させられ、今度はできそうという気持ちになった。我が家では、この本を私よりも先に読んだ夫がいつの間にか少しずつ片づけをはじめている。 本書は40ヵ国以上で翻訳され、世界的ベストセラーになった。また、2015年に米『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出された。(A.C) | ||
著者・出版社・出版年 | 近藤麻理恵著・河出書房新社・2019.2 | |
請求記号 | 597.5/ジ |
八つの夜: 長編童話 与謝野晶子児童文学全集/ 1 童話篇
児童文学も魅力的な与謝野晶子を知っていますか? 歌人、与謝野晶子くらいにしか知識としてなかった自分にとって本書は新鮮であった。ここ情報ライブラリーでこの作品に出会ったことに運命を感じたほどである。源氏物語の現代語訳者であったことは認知していたが、本書に出会わなかったら児童文学を記していたことは知らずに終わっていたかもしれない。 本書には3編の作品が収められている。そのどれもがどこか摩訶不思議であり、ときには幻想的であり、そして児童文学とありながら、大人も十分に楽しめる作品となっている。 特に、本書のタイトルにもなっている「八つの夜」は大正3年に発表され、その時代の人々の暮らしが浮かび上がってくる。現代でも女子(男子も)のお祝いに「十三参り」があるが、それは七五三のお祝いとはちがった、子どもから大人の世界に足を踏み入れることでもある。本書では主人公の綾子が十二歳の誕生日を迎えたその日、母の手から神の手に預けられる八夜で体験する様々な世界を描いている。按摩や漁の娘、子守女やお姫様、病弱な娘など毎夜、異なる身分になりかわる綾子を通して、当時の人々の、特に綾子と同年齢の女性(娘)の暮らしが垣間見える。他の作品もユーモアなどを交えながらも、貧しい人や体に障害のある人に視点を向けた描写から、社会において人は皆平等であり、生きる権利があることを伝えようとしているように感じられた。これは、与謝野晶子のすべての作品に通底している強いメッセージであると思う。 巻末には作品解説等の資料が充実し、与謝野晶子文学論にもなっている。今年は没後80年。歌人はもとより児童文学作者としての魅力も本書から発見してほしい。(I.Y) | ||
著者・出版社・出版年 | 与謝野晶子著: 上笙一郎編・春陽堂書店・2007.7 | |
請求記号 | 918.6/ヨー1 |
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