サポートスタッフのイチオシ本
 With Youさいたまのボランティア「サポートスタッフ」が、With Youさいたま情報ライブラリー蔵書から選んだイチオシ本を紹介します。
 

キッド : ぼくは虐待を生き抜いた

実話から虐待の実態が見えてくる
 「Bookmark」に執筆するにあたり、情報ライブラリーでの選書にいつも迷ってしまう。紹介したい本がありすぎるからだ。書架を巡りながら、私のアンテナがピピッときたものを手に取る。本書の出会いはまさに偶然そのもの。メディア報道の虐待事件に触れたばかりだからだ。
毎年、何度も取り上げられる親による虐待問題。暴力や育児放棄など、その多くが死に至ってしまう悲惨な状況である。なぜ虐待が繰り返されるのか、見過ごされてしまうのか。そして子どもは死に至ってしまうのか。著者の実体験を記した本書からその状況を目の当たりにする。また、虐待から抜け出ても、犯罪に巻き込まれてしまう人生にも触れ、総合的に虐待問題をとらえなければならないことを知る。なぜ繰り返されるのか―そのヒントは本書から見えてくるだろう。
日本での出版年が2003年と20年も前にもかかわらず、全く古びず、今なお新鮮な気持ちで読み進むことができた。それは社会が変わっていないこと? そんな疑問も生じた本書、ぜひ多くの方に手にとってほしい一冊である。(I.Y.)
 

著者・出版社・出版年

ケヴィン・ルイス著 ; 大野晶子訳. -- 日本放送出版協会, 2003.
 

請求記号

936/ル

なんで家族を続けるの?

家族の形は変わっていく
 日本の離婚率が3割を超えたという。シングルファミリーやステップファミリーも身近になっている。家族の形は今後もっと変わっていくだろう。この本は、樹木希林と内田裕也の娘、内田也哉子と脳科学者中野信子の家族をめぐる対談集。個性的で自由に生きる両親の間で幼少の頃から育ててきた内田の家族感。脳の研究の最先端で活躍していると思っていたらブラックホールを抱えていたという中野。
結婚と家族のあり方を見つめ直す一冊。(A.C.)
 

著者・出版社・出版年

内田也哉子著 ; 中野信子著. -- 文藝春秋, 2021. -- (文春新書 ; 1303).
 

請求記号

367.3/ナ

戦後民主主義と少女漫画

女性作者と読者の間のコミュニティが実は 社会を支えていた?
 著者は写真評論家。自身が高校生で体験した制服廃止運動と、その後民主主義への疑問から少女漫画にはまった経緯がつづられている。
70年代、社会が男性原理へ傾いていく過程で、女性原理が男女問わず心の内に閉じ込められ、その表現方法であった少女漫画が、一気に成熟したと著者は考える。内なる「純粋少女」イコール「少女原理」は男性原理が疲弊した現代こそ必要とされるものではないかと気づかされる。(S.S.)
 

著者・出版社・出版年

飯沢耕太郎著. -- PHP研究所, 2009. -- (PHP新書 ; 597).
 

請求記号

726.1/セ

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