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最近配架した図書など
こころの科学 2021年9月号(219)ドメスティック・バイオレンス
DVとはなにか ひとことでDV(Domestic Violence)と言っても、その背景や周辺にはジェンダー、子育て、生き方、パーソナリティ、生育歴、価値観など、さまざまなことが複雑に関係している。そのため、DVという問題をとらえようとすると、同時に人生における重要なことをいくつも問い直すことになる。本書は様々な分野の専門家がDVという深刻なテーマを語る。「いったいDVとは何なのか」「なぜ深刻なのか」ということを多面的に理解していくための手助けとなるだろう。 また、DVの基本構造である「支配-被支配の関係」は、配偶者間だけではなく、様々な場面で起こっている。例えば職場や学校、親族関係や友人関係、恋愛関係(デートDV)でも起こり得るし、だれもが「支配-被支配」の関係による傷つきを抱えたことが少なからずあるのではないだろうか。本書の知見は、そのような広い意味での「暴力」「支配」という概念を理解したり、それに伴う心の傷について理解する上で、何らかのヒントを与えてくれるだろう。 |
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著者・出版社・出版年 |
日本評論社・日本評論社・2021 | |
請求記号 |
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ジェンダー分析で学ぶ女性史入門
ジェンダー分析の実例を学び、問われなかった歴史を問い直そう 記録されることの少なかった女性たちの姿を掘り起こす女性史研究を経て、新たに生まれてきたのが、「なぜ、男女で区分するようになったのか?」「男女の区分のなかで人びとはどう生きてきたのか?」ということを明らかにしていくジェンダー分析である。本書はそのジェンダー分析の成果と手法を紹介する入門書として刊行された。古代から中世、近代、そして現代に至るまで、女官、埴輪、歌舞伎、遊郭、 絵本、男女別学など様々なテーマから13本の論考が掲載されている。どれもわかりやすい文章で、最前線の研究成果が盛り込まれている。女性史だけではなく、「男性史の方法とその可能性」、 「LGBT」史研究についての論考も含まれており、「人=男性」を前提として従来の歴史で不可視化されてきた社会の暴力や排除・抑圧構造の検証の深化が示されている。 こうした進展は、新たな史資料が発見されたから、ではない。無意識のうちに私たちを強くとらえているジェンダー・バイアスをはねのけ、史資料を読み解いて歴史的に構築された過程を解明した成果である。それは、ジェンダーにとらわれず、誰もが自分らしく生きられる社会を築く手がかりを見つける取組でもある。今までと違った新たな歴史的実体が見えてくる分析の面白さを満喫しながら、自分も思い込みを捨て、多様な人間同士の開かれた関係を展望する歩みに加わりたいと思う。 |
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著者・出版社・出版年 |
総合女性史学会編・岩波書店・2021 | |
請求記号 |
367.21/ジ |
お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード : ジェンダー・フェミニズム批評入門
読み応えたっぷり。読んだあとは、フェミニズム批評をしてみたくなります。 「批評」は堅苦しそうなイメージだが、映画や小説、音楽などをフェミニズム視点だとどのように読み解くかを実演してくれる、まさに批評入門書。有名な作品も、それほど有名じゃない作品も、知っている作品も、知らない作品も、こんな風に読めるのかと新鮮な気持ちになり、どの作品にも興味が出てしまう。どのエッセイも面白いが、オースティン、シェイクスピア、ブロンテ姉妹、ジョージ・エリオットの作品を結婚を通じて分析した第四章は本書の白眉とも言える内容である。筆者の文章はユーモアもあり、読みやすいけれど、理論的な批評や歴史的背景も織り交ぜつつ手加減しない鋭さがある。男性がえらそうに説教をする「マンスプレイニング」や「ウィキペディアは男の世界?」での論考は痛快。ジェンダー・フェミニズム視点だからこそ、最後に連帯感や勇気ももらえる。元気がでる。 あとがきに「語り手がたくさん出てほしい」とある。以前から作品や映画の中で女性の扱いが気にかかり、ずっと不快な気持ちが残ることがあった。それは「フェミニズム批評」という切り口で堂々と俎上にあげて良いのだと確認することができた。本書との出会いによって作品について掘り下げてみたい、作品について他の人と話したいという気持ちが強くなった。作品を通じて色々な人とつながる。批評とは、そうした道具でもあることにも気がついた。 |
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著者・出版社・出版年 |
北村紗衣著・文藝春秋・2022 | |
請求記号 |
778.04/オ |
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