「国際女性の日」関連図書
 3月8日は「国際女性の日」。1975年に国連が定めました。
 国連広報センターによると、この日は「国や民族、言語、文化、経済、政治の壁に関係なく、女性が達成してきた成果を認識する日」とされています。
 そこで、今回のBookmarkでは、東日本大震災後におけるローカルの女性のエンパワーメントに関する本を紹介します。 

ローカル女子と未来をひらく: 災害復興と女性のエンパワーメントの記録 2011-2020

エンパワーメント10年の記録
 被災地の避難所で、女性が必要とする生活用品がきちんと届けられていないのに、女性たちは何も発言できなかったことに衝撃を受けた女性支援団体NPO法人ウィメンズアイ(以降、WEと記述)のメンバー。当初は避難所で生活に必要なものを届けることや、話を聞くなどといったことからはじまった活動。
 やがて、仮設住宅に住む被災者が多くなり、慣れ親しんだコミュニティのつながりが切り離されてしまうと、手芸や料理、体操など趣味や関心がある講座を開くなど、「楽しさ」と「共通するテーマ」で人がつながる場づくり、南三陸町と周辺地域での女性と子どもにまつわるコミュニティ育成活動など、「テーマ型コミュニティ育成」をしていきます。女性が目立つと、周りの理解を得ることが難しくなる環境の中、自分が自分らしく生きるということを認め、発言をするという土台づくり、仲間づくりをしていこうと、その人の根っこを大事にするアプローチをしていきます。
 支援の形は、ものの提供から、場の提供、女性のエンパワーメントにシフトします。
 2015年に仙台で開催された国連防災世界会議のプレイベントとして、世界の女性リーダーたちを集め、地域をよくする活動を続けるために、互いの経験を分かち合い、共に学び、成長するエンパワーメントの場として、グラスルーツ・アカデミーを開講しました。このプレイベントをきっかけに岩手・宮城・福島の若手女性に向けたグラスルーツ・アカデミー東北という活動がはじまります。国内外で研修した参加者それぞれの地域でエンパワ-メントの循環が生まれ始めました。
 既存の活躍している女性リーダーを集めているアメリカの元祖グラスルーツ・アカデミーから、これから育っていく芽を探し出すことに力を注いでいるグラスルーツ・アカデミー東北の活動は新しいエンパワ-メントの循環が生まれると評価されました。
 東北で蒔かれた小さな種が芽吹き、根付いていく・・・10年間の記録です。
 

著者・出版社・出版年

小島まき子,塩本美紀編・NPO法人ウィメンズアイ・2021
 

請求記号

369.31/ロ
1 5 9