With Youさいたまのボランティア「サポートスタッフ」が、With Youさいたま情報ライブラリー蔵書から選んだイチオシ本をご紹介します。
私たちの近現代史 : 女性とマイノリティの100年
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2人の作家が100年にわたる負の歴史を語りつくす 伊藤野枝や朝鮮人慰安婦を描いた作家と、在日家庭に育ち社会を見つめてきた作家が、この100年間の女性やマイノリティへの差別や偏見を語り合う。 私は東京で育ち、大人たちから関東大震災や戦時中の出来事について話を聞く機会があった。さらに詳細に知りたいと思って本書を手に取った。その作風や経歴から村山さんと私とでは考え方が異なると感じていたが、読み進めるうちに、同じ世代として時代の影響を受け、共通点があることに気づいた。特に現在の日本に関する批評――機能不全の民主主義、都合の悪い歴史の隠蔽、異なる意見を持つ者に対する人格否定的な情報操作など――は、私自身も強く共感した。 朴さんは若い層にも支持されている村山さんがシリアスで歴史的な話を描いたことについて、その影響力の大きさと重要性を評価する。村山さんも「特に若いうちに文学に触れておかないと、想像力や判断力、洞察力、何を信じて何を疑うべきかなど、大切なことを見極める目が磨かれない。」「小説で感情移入を促すことは、読者が自己の問題として考えるための想像力を強化するものである」との意欲を示している。また、小説家でありながら「言葉は不完全な道具。言葉からこぼれるものも大切に」と述べてもいて、こうした発言は、読書の重要性を再確認させる。世代間ギャップについて考えるとき、同じ小説を読むことでその溝が埋まるという点は、参考になると感じた。 関東大震災直後の朝鮮人虐殺や無政府主義者の殺害、従軍慰安婦など、私たちが考えなければならない内容に胸が締め付けられる思いがするが、対談形式で語られるので読みやすい。ぜひ多くの方に読んでもらいたい一冊である。(S.S) |
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著者・出版社・出版年 |
村山由佳・朴慶南/著、集英社、2024(集英社新書:1207D) |
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請求記号 |
210.6/ワ |
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